1)遠赤外線療法が腹膜透析患者の腹膜輸送特性に及ぼす影響
推薦コメント:長期の腹膜透析(PD)において、腹膜機能の経時的な変化や劣化は、除水不全や溶質除去能の低下を招き、患者の予後や治療継続に直結する重大な課題です 。本研究は、非侵襲的で簡便な「遠赤外線(FIR)療法」が、PD患者の腹膜輸送特性にどのような影響を与えるかを検討した極めて独創的な臨床研究です 。FIR療法は、既に血液透析領域においてバスキュラーアクセスの血流量改善や開存率向上に寄与することが報告されています 。本論文では、その機序であるヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)の誘導を介した抗炎症・血管調節作用に着目し、PD患者の腹膜保護における新たな可能性を提示しています 。既存の治療とは異なる「FIR療法」という新たなアプローチが、腹膜保護の新たな選択肢となり得ることを示唆しており、臨床現場における治療戦略の幅を広げる一助となるでしょう 。PD患者の長期管理に携わる医療従事者にぜひ一読いただきたい論文です。
2)終末期ケアに関する希望とニーズ:慢性腎臓病患者の認識
推薦コメント:本論文は、透析患者の高い死亡率や症状負担が知られているにもかかわらず、慢性腎臓病 (CKD)患者自身の終末期医療に対する希望や認識が、これまで十分に把握されてこなかったという背景を踏まえ、腎臓領域におけるエンド・オブ・ライフケアの課題を体系的に捉え直した点に大きな意義があります。保存期から透析・移植期に至るCKD患者584人を対象とした大規模な質問紙調査を用いた記述的研究デザインにより、患者が何を重視し、腎臓専門医療にどのような役割を期待しているのかを明らかにすることを目的として実施されています。本研究では「患者の61 %が透析開始の決断を後悔していた」という事実も示されており、その背景にある患者の認識やニーズについて、本論文から多くの示唆を得ることができます。透析導入前教育やアドバンス・ケア・プランニング、支持的医療ケアを含めた包括的な腎臓医療の在り方を再考したい、すべての腎臓医療従事者に一読を勧めたい論文です。
©2023, Japanese Society for Technology of Blood purification